絽ちりめんとは言わずとも、少しシボが立った絽の生地の上に、優雅な雰囲気を感じさせる蝉が一匹。
染め色とも相まり、朝もやの様な幽玄さも感じさせてくれる、素敵な染め上がりの一本です。
藤色とも、灰色ともいえるはんなりとした地色の上に、大きな幹とそこに蝉が一匹。 その周りはシダの葉が、繊細な描写で染められています。
この柄はお太鼓の柄になりますが、幹の上下が広くとってあるので、柄を出す時には蝉を上下自由に結ぶ事が出来ます。
蝉は繊細な手描き友禅の線描きと、羽の色を丁寧にぼかしてあり、先にも書いた様な生々しさはありません。
「昆虫が絶対ダメ!!」という方に無理にはお勧めしませんが、そうでもない方には夏らしさを前面に感じながら、帯を結んで頂けるかと思います。
垂先にもワンポイント、シダの葉が染め抜かれています。 前腹にはシダの葉が描かれており、シンプルな前腹になります。
お太鼓の蝉、それも一匹だけのものを活かすために他はあえて蝉やその痕跡は入れず、ただ手を抜くのではなく、繊細な手描きを施すことで、帯としての品格をもっています。
合わせる長着は、無地や小付の小紋が最良。 夏紬とも相性良く、楽しく結んで頂けるかと思います。
夏を感じ、夏を楽しむ一本を。
来たる季節を楽しみに、着物と共に素敵なひとときをお過ごし下さいませ。
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